Erosion(Tooth Wear) その2
外因性 |
飲食物由来の酸(柑橘系、清涼飲料、酢) |
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酸性の内服薬(アスコルビン酸、アスピリン、鉄剤) |
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環境中の酸(産業的、職業的) |
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内因性 |
反復性嘔吐 |
疾患 |
消化性疾患 |
消化器潰瘍、胃食堂逆流症、食道裂孔ヘルニア、胃機能運動障害、腸閉塞、胃腸炎、食物アレルギー |
代謝性、内分泌系疾患 |
糖尿病、腎不全、甲状腺機能亢進症、アジソン病 |
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神経、中枢性疾患 |
片頭痛、メニエール病、脳腫瘍 |
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周期性嘔吐:5才から思春期まで |
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薬の副作用 |
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ドーパミン作用薬、モルヒネ、ジギタリス製剤、抗癌剤、アスピリン、利尿薬、アルコール |
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心因性嘔吐 |
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摂食障害 |
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アルコール依存症 |
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妊娠嘔吐(つわり) |
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逆流 |
食道狭窄、巨大な食道憩室、噴門括約筋の弛緩、胃内圧が噴門括約筋の収縮力より大きい場合、筋弛緩薬(スキサメトニウム)の使用 |
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反芻 |
食道憩室、食道裂孔ヘルニア、幽門狭窄などの器質的疾患、神経病、過食 |
小林賢一:歯が溶ける 酸蝕(Erosion)とは― 歯界展望106(6):1118-1142、2005
7月16日に続く、第二弾、Erosion についてです。
これには、色々と原因があること、そして特殊な職業に限定されたものだけではないことが分かってきました。(バッテリー工場などの、酸蒸気の仕事) 特に外因性と内因性とに分かれ、工場などは外因性になりますが、食べ物や飲み物、あるいうは酸度の強いプールなどもこれになります。
しかし、内因性の方もトピックに上がっており、前回表示した、胃食道性逆流症(GERD)や摂食障害、閉鎖性睡眠時無呼吸症候群なども原因としては考えなければならないのです。
つまり、特殊な環境に由来するだけではなく、胃液や飲食物に含まれる酸でも、その度合いによっては「歯が溶ける」という侵襲が起こるということなのです。
これらについては、環境や生活習慣によっても色々と変化するため、この状態は不可逆性であることも考えると、臨床での早期発見、そしてセルフケアの推進とっても重要です。
世の中には勉強すればするほど、色々な疾患があるもんだなぁと感じます。