歯周病５・予防歯科とは歯にいいことをたくさんすること
将来、自分の歯はどうなると思いますか？
「虫歯がなければ今のままだろう」「歯を磨いていれば悪くならないだろう」と思ってはいませんか？
ご自身だけで歯を守るには限界があります。「○○だろう」では確実に健康な歯を保つことはできません。
虫歯かもしれない、歯の汚れが落ちていないかもしれない、そういった可能性をひとつひとつ解消していくこと、それが予防歯科です。
歯を長くもたせるには二つの秘訣があります。
①歯をきちんと磨けていること ②定期的に歯科医院で専門的な清掃を受けること です。
①歯を磨いているだけでは不十分です。歯をしっかり磨けているか、歯科医院で数値化して測ってみましょう。
それがＰＣＲ（プラーク・コントロール・レコード）です。
この図の、赤いところが、歯が磨けていない部分です。
歯に特別な染色をし、口をゆすぐと、歯垢（プラーク）が残っている部分だけが赤く染まります。ひとつの歯を４つに区切り、その赤い部分が何パーセントあるのかチェックします。これがプラークスコアです。
この患者様は、当初（左図）磨けていない部分が２２％ありましたが、歯ブラシ指導を行った結果、半分の１１％になりました。
しかしこれは、まだ磨けていない部分が１１％あるということにもなります。
その磨けていない部分を完全に除去するのが、②歯科医院が行う専門的な歯の清掃です。
②専門的な歯の清掃を、ＰＭＴＣ（プロフェッショナル・メカニカル・ティース・クリーニング）といいます。
歯の間の清掃し、歯の表面を磨き、歯ぐきの中の細菌の塊を除去ます。その後、ステインやヤニなどの着色を除去、高濃度のフッ素を塗布します。専用のやわらかいゴムチップを使いますので痛みはありません。歯肉のマッサージ効果があり、爽快感が残ります。
歯の表面には虫歯や歯周病の元になるバイオフィルム（細菌の塊）がついています。普段のクリーニングでは届かない歯ぐきの中にもあります。この部分を徹底的に掃除し、細菌を取り除けば、健康な歯を保つ可能性がぐっと増えます。
また、歯の表面にも違いが出ます。ＰＭＴＣを行ったあとの歯の表面はツルツルで、汚れがつきにくくなります。こうして、歯ブラシでは賄いきれない歯周病のリスクをひとつずつ減らしていくのです。
歯科医院が歯を守るために行うのは、虫歯の治療だけではありません。
歯科医院でしか落とせない細菌を除去し、歯磨きの仕方を指導して、歯周病を防ぐことも含まれます。
なにもしないでいると、歯は悪くなります。８０歳で２０本の歯を残そうという働きがありますが、２０本の歯では、生活には困らなくても、２８本あったときと比べると、確実に食事の楽しみがなくなります。
歯にいいことをたくさんして、豊かな食生活を守りましょう。
