歯周病3・歯が悪くなる三つの原因
同じような生活を送っているのに、家族の中で歯の状態がずいぶん違う…と思ったことはありませんか?
歯周病は、さまざまな原因があって引き起こされるのです。
その主な三つが、①細菌 ②宿主 ③環境です。
この三つの要素をすべて持っていると、歯周病を発症する確率はぐっと高くなります。
それでは、どう対策したらいいでしょうか? 一つずつご説明いたします。
①細菌因子
お口の中の細菌の状態です。歯周病は細菌が引き起こしているものですから、この細菌さえなければ歯周病にかかることはありません。
細菌は歯ぐきの上と歯ぐきの下の二つのエリアに分かれてついています。
歯ぐきの上にある細菌は、毎日の歯ブラシで落とせます。しかし、歯ぐきから下にある細菌の塊は、歯科医院で歯科衛生士が行う処置でしか落とせません。また、歯ぐきの上であっても、細菌が固まってへばりついているような状態では、歯ブラシでは落とせません。そのために、定期的なクリーニングが必要になるのです。
そしてこのお口の中の細菌がどれくらいあるのか、歯科医院で調べることができます。
お口の中の歯垢(プラーク)をとり、顕微鏡で観察すると、いろんな細菌が見えてきます。
たとえばこちらはカンジタ菌です。少しの量であれば問題はありませんが、増えてくると重い歯周病を引き起こす恐れがあります。
当院ではこの細菌検査のデータを患者様ごとにすべて記録していますので、検診のたびに、細菌が増えていないか、改善されているか確かめましょう。
②宿主因子
本人の体質や、歯の状態のことを表します。
たとえば、糖尿病などの全身疾患を抱えている方、免疫力が低下している方、また妊娠中の方などは、歯周病のリスクが高まります。歯科医院での問診の際には、病歴を尋ねる場合がございますが、歯の治療には重要な情報になります。必ずお教えください。
またその他に、虫歯になりやすい年代があります。歯の質が弱い乳歯や永久歯の生え変わりの時期です。
乳歯はエナメル質が薄く、虫歯菌がついたときに、すぐ下の象牙質というところまで達してしまうのです。
永久歯に生え変わった頃も同じように、まだ歯の質がしっかりしていません。歯科医院でフッ素を塗るなどして、歯を強化する必要があります。
特に、乳歯が生えそろった時期や、永久歯に生え変わる年代のお子様は、歯科検診を受けましょう。
③環境因子
食生活や喫煙状態、また飲んでいるお薬などによる原因です。
煙草を吸っていると、歯周病になりやすくなります。煙草に含まれるタールが、歯垢や歯石をつきやすくさせます。また煙草によって唾液の量が減ると、歯が再生する再石灰化という現象が起こりにくくなります。
もちろん喫煙本数が増えれば増えるほど歯周病へのなりやすさは増します。
歯周病は生活習慣病です。糖尿病になりやすい高カロリー、塩分、高脂肪のものを多量に摂取すると、歯周病にも影響が起こります。また過度なアルコールや偏食も控えてください。
身に覚えのある原因はありましたでしょうか?
しかし逆を言えば、これらさえ改善していけば、歯周病になる可能性は大きく下がります。お口の状態を調べ、ひとりひとりに合った治療方法を行うことで、歯は悪くならないのです。
自分がどういった状態なのかを知るためにも、検査を受けてみませんか?